バイトのJさんに「年末調整する意味がわからない」って言われたんだ。
年末調整っていうのは、会社が従業員の一年間の給与の総額から所得税を
計算して、すでに給与から天引きしている所得税額の合計額と照らし合わせて
精算をすることだよ。
意味不明なんだけど。
年末調整を理解するには、源泉徴収について知る必要があるね。
給与明細書を見ると、所得税が差し引かれているよね。
本当だ。
所得税が引かれてる。
所得税っていうのは、収入に対して課される税金のことだよ。
収入を得ると、得た金額に見合った税金を払わないといけないんだ。
みんなが税務署に行って所得税を支払おうとしたらどうなる?
税務署は人でごった返して、大変だろうね。
そう。それに、税金の制度は難しいし、しょっちゅう制度が変更される。
納税する金額を間違えちゃう人や、よくわからないからオラ知らねって
払わない人もいるかもしれない。
そうそう。国は効率よく確実に税金を集めたいんだ。
だから、会社勤めをしている人の所得税は、給与を支払う会社が、
従業員に代わって所得税を集めて国に納税するルールがある。
どうやって集めるの?
給与明細書から所得税が引かれていたことでもわかるように、
毎月のお給料を支払う時に、事前に所得税を差し引いちゃうんだ。
これが、源泉徴収だよ。
この源泉徴収と年末調整が、関係があるってこと?
給与から差し引かれる源泉所得税は、実は正確な所得税額じゃないんだ。
はい?
源泉徴収の所得税額は、源泉徴収税額表という表に基づいて計算される。
「扶養親族等の数」が「0人」の列を見てね。
今月の給与が88,000円以上89,000円未満だったら、所得税は130円ってこと?
88,000円でも、88,999円でも、130円なの?
そうだよ。
源泉徴収所得税額は概算、つまり、大体いくらですよ、という金額なんだ。
大体の所得税額を毎月、給与から差し引くんだ。
ほうほう。
それから、生命保険に入っていたり、扶養する家族がいたりすると
所得税を控除してくれる、つまり、支払う金額を減らしてもらえるんだ。
いろいろな条件で控除を受けることができるんだけど、それらの条件は、
毎月の源泉所得税額には反映されていない。
なるほどね。
1月から12月までの給与金額が確定したら、年間の収入合計を計算する。
その金額に対して、控除の条件を含めて所得税をちゃんと計算する。
そうすると、源泉徴収で差し引かれた所得税額との間に差額が生まれる
場合がある。
その差額を調整するんだね!
税金を多く支払いすぎていた場合は返してくれる(還付)。
足りなかったら、追加で支払わなくちゃいけない(徴収)。
なるほどね。年末調整は意味ないものじゃないんだね。