会社の社員さんから「年末調整で保険料控除が戻ってこない」と
質問されたんだけれど・・・
ええっと。
そもそも保険料控除は戻ってこないよ。
戻ってこないの?
年末調整というのは、所得税の額を計算するものなんだ。
所得税・・・税金だね。
年末調整とは?でも説明したけれど、所得税は通常、
1月~12月の給与から差し引かれている。
源泉徴収ってヤツだね。
源泉徴収で差し引かれる所得税はちょっと大雑把で正確じゃないんだ。
だから12月に、年末調整という処理をして正しい所得税額を計算する。
さらに年末調整では「控除」という形で、支払うべき所得税の額を
減らすこともできるんだ。
税金の額を減らせるなんて、嬉しいね。
税金なんてできるだけ払いたくないよね。
年末調整で所得税の金額を計算しなおすことで、
1月~12月の給与で所得税を支払いすぎていることがわかった場合は、
払いすぎた所得税が戻ってくる。
1月~12月の給与で支払った所得税額では、実際に支払わなければ
ならない所得税額に満たない場合は、年末調整後にさらに、
所得税としてお金が徴収されるんだよ。
なるほど。戻ってくるのは保険料控除じゃなくて、
支払いすぎた所得税なんだね。
じゃあその「控除」っていうのは、どういうものなの?
「保険料控除」も、その「控除」なの?
保険料控除というのは、年末調整で所得税額を計算するときに
行われる「控除」だ。
「控除」とは「ある金額から一定の金額を差し引く」という
意味だよ。
じゃあ年末調整でいう「控除」は、支払うべき所得税の額から、
一定の金額を差し引くことができるよ、という意味なのか。
つまり保険料控除とは、加入している保険の掛け金額や種類によって、
支払うべき所得税の額を減らせるよ、というものなんだ。
保険に加入しているだけで、支払う所得税の額を減らせるわけね。
加入していた保険を整理するなどして、保険料控除の額が減ると、
年末調整で戻ってくる金額が減る可能性があるということはわかるかな?
ええっと・・・保険会社に支払う金額を減らしたら、保険料控除額が
減ってしまったわけね?
そう。所得税から控除する額が減れば、支払う所得税額は実質的に
増えるから、戻ってくる金額も減ってしまうかもしれないわけだ。
たとえば去年は、保険料控除額は2,000円だった。
年末調整の結果、計算された所得税は8,000円だったとしよう。
1~12月の給与から源泉徴収された所得税は11,000円だった。
年末調整で計算された所得税8,000円との差額で、
3,000円(11,000円-8,000円)が戻ってきたとしよう。
今年はどうなるの?
今年は保険を整理して、保険料控除が1,000円に減った。
年末調整の結果、計算された所得税は9,000円だったとしよう。
所得税から控除される(差し引かれる)金額が、去年より
1,000円減ったから、所得税の金額が上がったのね。
1~12月の給与から源泉徴収された所得税は、去年と同じく
11,000円だった。
年末調整で計算された所得税9,000円との差額が戻ってくる金額だから・・・
11,000円-9,000円=2,000円が戻ってくることになるね。
保険料控除額が1,000円減ったことで、支払う所得税額が去年より
1,000円増えて、戻ってくる金額は1,000円減っているわけか。
実際の年末調整は、この例よりももっといろいろとやることがあるし、
ずっと複雑な計算が行われる。
でも、保険料控除額が変わると年末調整で戻ってくる金額が
変わる可能性があるということは、イメージできたでしょ?
なるほど。