配偶者控除等申告書の書き方【3】から、引き続き本人の合計所得金額の
見積額についての説明をしているよ。
本人に給与所得以外の所得がある場合の続きだね。記入する欄は①~④だよ。
⇒国税庁HP:[手続名]給与所得者の配偶者控除等の申告からダウンロードできます。
「給与所得(1)」以外の所得としては、「事業所得(2)」、「雑所得(3)」、
「配当所得(4)」「不動産所得(5)」「退職所得(6)」「(1)~(6)以外の所得(7)」
があるんだったね。
今回は「退職所得(6)」だね。
退職所得って、要は退職金のこと?
そのとおり。勤務先を退職する時に受ける退職手当などや、社会保険
制度などにより退職によって支給される一時金、適格退職年金契約に
基づいて生命保険会社、または信託会社から受ける退職一時金などが退職所得
とみなされるよ。
適格退職年金契約ってなに?
適格退職年金契約っていうのは、平成14年3月31日までに締結された、
使用人に対する退職年金の支給を目的とした信託、生命保険、または
生命共済の契約のことだよ。
一定の要件を備えているとして国税庁長官の承認を受けた契約をいうんだ。
平成14年3月31日で廃止されてしまったんだけど、平成14年3月31日までに
締結した適格退職年金契約は、平成24年3月31日まで経過的に存続すること
とされているよ。
さらに平成24年4月1日以後もその契約が継続している時は、一定の事実が
生じている場合に限り、存続することになっている。 ⇒国税庁HP
ふむふむ。
それから、解雇予告手当(労働基準法第20条)や、
退職した労働者が弁済を受ける未払賃金(賃金の支払の確保等に関する
法律第7条)も退職所得に含まれる。
単純に退職金だけじゃないんだね。
「収入金額等ⓐ」欄には、実際にもらった退職所得等を書けばいいね。
「必要経費等ⓑ」欄には何の金額を書けばいいの?
退職所得は、退職所得控除が受けられるんだ。
ああ、本当だ。
「必要経費等ⓑ」欄に、「退職所得控除額」って書いてあるね。
退職所得控除額は、いくらになるのかな?
ちゃんと計算式が決まっているんだよ。
え~っと、つまり・・・
勤続年数が15年だったら、40万円×15年=600万だし、
勤続年数が30年だったら、70万円×(30年-20年)+800万円=1500万円だ。
すごい高額を控除してくれるんだね!
退職所得は、退職後の生活保障のためのお金だと考えられているんだ。
税金がたくさん取られちゃったら、老後の生活に苦しむ人が増えるかもしれない。
だから退職所得は、税金の負担がとても安くなっているんだ。
あとは、「所得金額ⓐ-ⓑ」欄を記入して・・・
勤続年数が20年以下 40万円×勤続年数(最低80万円) ※80万円に満たない場合には、80万円 |
勤続年数が20年以上 70万円×(勤続年数-20年)+800万円 |
勤続年数が10年3か月、とかって半端な月数がある時は、
どうするの?
1年未満が生じた場合には、切り上げるんだ。
10年3カ月なら、勤続年数11年で計算するよ。
それから、日数は30日をもって1か月とすると決められている。
さらに、障害者になったことを理由に退職した場合には、100万円加算されるよ。どうするの?
1年未満が生じた場合には、切り上げるんだ。
10年3カ月なら、勤続年数11年で計算するよ。
それから、日数は30日をもって1か月とすると決められている。
え~っと、つまり・・・
勤続年数が15年だったら、40万円×15年=600万だし、
勤続年数が30年だったら、70万円×(30年-20年)+800万円=1500万円だ。
すごい高額を控除してくれるんだね!
退職所得は、退職後の生活保障のためのお金だと考えられているんだ。
税金がたくさん取られちゃったら、老後の生活に苦しむ人が増えるかもしれない。
だから退職所得は、税金の負担がとても安くなっているんだ。
あとは、「所得金額ⓐ-ⓑ」欄を記入して・・・
あれれ?この欄にも何か注釈があるよ。
(ⓐ-ⓑ)×1/2 または(ⓐ-ⓑ)???
今、説明したとおり、退職所得は税金の負担が安くなっている。
(収入金額-退職所得控除額)×1/2
が、退職所得の金額になるんだよ。
つまり、実際に貰った退職金から退職所得控除額を差し引いた金額の
さらに半分が、最終的な退職所得になるってこと?
(ⓐ-ⓑ)×1/2 または(ⓐ-ⓑ)???
今、説明したとおり、退職所得は税金の負担が安くなっている。
(収入金額-退職所得控除額)×1/2
が、退職所得の金額になるんだよ。
つまり、実際に貰った退職金から退職所得控除額を差し引いた金額の
さらに半分が、最終的な退職所得になるってこと?
そう。退職金が2000万円の時、勤続年数が15年だったら、
2000万円-(退職所得控除 40万円×15年)×1/2=700万円が
退職所得額だ。
勤続年数が30年だったら、
2000万円-(退職所得控除 70万円×(30年-20年)+800万円)×1/2=
250万円だね。
なるほど!
だけど、または(ⓐ-ⓑ)って書いてあるよ?
勤続年数が5年以下の法人役員は、2分の1を掛けないんだ。
勤続年数が5年以下の法人役員が、退職金が2000万円の時、
勤続年数が15年だったら、
2000万円-(退職所得控除 40万円×15年)=1,400万円が退職所得に、
勤続年数が30年だったら、
2000万円-(退職所得控除 70万円×(30年-20年)+800万円)=500万円が
退職所得になるんだね。
逆転していたらどうなると思う?
逆転?
支給された退職金が100万円で、退職所得控除額が150万円だった時みたいに、
収入よりも控除額が大きかった場合だよ。
えっ・・・ええっと、その場合、「所得金額ⓐ-ⓑ」欄は・・・
ゼロ円になるのかなあ??
そうだね。
課税退職所得金額はゼロ円(マイナスにはならない)になる。
退職手当から源泉徴収する所得税額や住民税額もゼロ円になるよ。
むむむ。なるほど。
もしも、本人の所得見積額が1,000万円を超えてしまったら、
配偶者控除・配偶者特別控除は受けることができないから
注意してね。
ふむふむ。じゃあ、「給与所得(1)」と「退職所得(6)」の合計金額は、
7,350,000円になるわけね。
それを、②欄に転記する。
②欄の結果を、③欄で判定するのね。
②欄が900万円以下だったら「900万円以下(A)」にチェックを入れるんだよね。
900万円超950万円以下だった場合、950万円超1,000万円以下だった場合も、
それぞれ該当する欄にチェックを入れる。
そうそう。最後に、④欄に判定結果を記入する。
③欄が「900万円以下(A)」だったから、④欄に「A」と書く。
③欄が「900万円超950万円以下(B)」だったら「B」、
「950万円超1,000万円以下(C)」だったら「C」と書くんだったね。
次は、「(1)~(6)以外の所得(7)」だよ。
おお~やっとラストだ。