2019年12月
年末調整なしの場合はどうなるの?
人によっては、年末調整がなしの場合もあるんだよね?
どういう人が、年末調整なしになるの?
年末調整の対象になる人は、
●会社などに1年を通じて勤務している人
●年の中途で就職し、年末まで勤務している人(青色事業専従者も含む) だ。
それに対して、 次の2つのいずれかに当てはまる人は、
年末調整の対象者じゃない。
つまり、年末調整がなしの人だね。
《1》 1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人 |
《2》 災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税及び復興特別所得税 の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人 |
《1》お金をたくさんもらっている人と、
《2》災害による例外に該当する人が、年末調整なしなんだね。
それ以外の人は、みんな年末調整が必要なの?
他にも、下記に該当する人も年末調整なしになるよ。
【1】 2か所以上から給与の支払を受けている人で、他の給与の支払者に扶養控除 等(異動)申告書を提出している人 |
【2】 年末調整を行う時までに、扶養控除等(異動)申告書を提出していない人 (月額表又は日額表の乙欄適用者) |
【3】 継続して同一の雇用主に雇用されない、いわゆる日雇労働者など (日額表の丙欄適用者) |
扶養控除等(異動)申告書は、この書類だね。
扶養控除、障害者控除などの控除を受けるためのものだよね。
扶養家族がいたりすると、所得税が控除されるんだ。
扶養控除等(異動)申告書を提出することで、該当する控除を受けることが
できるんだよ。
「控除」は、支払う税金の金額を減らしてくれるって意味だったよね。
じゃあ【1】は、A社とB社で仕事を掛け持ちしていて、扶養控除等(異動)
申告書をA社に提出していたら、A社では年末調整をして、B社では、なし
ということか。
じゃあ【2】は?
扶養控除等(異動)申告書を提出してくださいねと言われたのに
提出しなかった人は、年末調整をしませんよということだね。
月額表または日額表の乙欄適用者っていうのは、どういう意味?
これは源泉徴収の話なんだ。
源泉徴収を行う時に、源泉徴収表に収入を照らし合わせて源泉徴収税額を
出すという話をしたよね。⇒年末調整とは?
うん。
源泉徴収税額表には、月額表、日額表、それから甲欄、乙欄、丙欄という
のがあるんだ。
給与を毎月支払う場合や、月や旬を単位にして給与を支払う場合は、
月額表を使って源泉徴収を行うよ。
じゃあ、日額表は日払いの場合かな?
日払いの場合や、一週間ごとに給与を支払う場合、それから、
日割り計算して給与を支払う場合も、日額表を使うよ。
甲、乙、丙っていうのは何?
扶養控除等(異動)申告書を提出した人は、甲欄、
提出していない人は乙欄をみて源泉徴収税額を決めるんだ。
丙欄は日額表だけにある。甲、乙、丙っていうのは何?
扶養控除等(異動)申告書を提出した人は、甲欄、
提出していない人は乙欄をみて源泉徴収税額を決めるんだ。
日雇いの人や短期間雇い入れるアルバイトなどに、一定の給与を支払う場合に
適用するよ。
なるほど。
だから扶養控除等(異動)申告書を提出していない人=月額または日額表の
乙欄の適用者なんだね。
そうだね。
最後の【3】も、日額表の丙欄に該当する人は、年末調整なし、
ということになるよ。
年末調整なしの場合は、会社側ではどういう処理が行われるの?
年末調整なしの場合は、今年の1月~12月の間に支払った給与等に
ついて、源泉徴収票を発行するだけだ。
源泉徴収票は、年末調整をした人がもらえるものだと思っていたよ。
年末調整なしの人も、もらうことができるんだね。
もちろん。年末調整をしていない人の源泉徴収票は、
摘要欄に「年調未済」と書いてあるよ。
ちゃんと見分けがつくようになっているんだね。
源泉徴収票に「年調未済」と書かれているときに、確定申告が必要か
どうかについては、下記を参考にしてね。
⇒源泉徴収票に「年調未済」と書かれていたら、確定申告が必要?
年末調整で保険料控除が戻ってこない?
会社の社員さんから「年末調整で保険料控除が戻ってこない」と
質問されたんだけれど・・・
ええっと。
そもそも保険料控除は戻ってこないよ。
戻ってこないの?
年末調整というのは、所得税の額を計算するものなんだ。
所得税・・・税金だね。
年末調整とは?でも説明したけれど、所得税は通常、
1月~12月の給与から差し引かれている。
源泉徴収ってヤツだね。
源泉徴収で差し引かれる所得税はちょっと大雑把で正確じゃないんだ。
だから12月に、年末調整という処理をして正しい所得税額を計算する。
さらに年末調整では「控除」という形で、支払うべき所得税の額を
減らすこともできるんだ。
税金の額を減らせるなんて、嬉しいね。
税金なんてできるだけ払いたくないよね。
年末調整で所得税の金額を計算しなおすことで、
1月~12月の給与で所得税を支払いすぎていることがわかった場合は、
払いすぎた所得税が戻ってくる。
1月~12月の給与で支払った所得税額では、実際に支払わなければ
ならない所得税額に満たない場合は、年末調整後にさらに、
所得税としてお金が徴収されるんだよ。
なるほど。戻ってくるのは保険料控除じゃなくて、
支払いすぎた所得税なんだね。
じゃあその「控除」っていうのは、どういうものなの?
「保険料控除」も、その「控除」なの?
保険料控除というのは、年末調整で所得税額を計算するときに
行われる「控除」だ。
「控除」とは「ある金額から一定の金額を差し引く」という
意味だよ。
じゃあ年末調整でいう「控除」は、支払うべき所得税の額から、
一定の金額を差し引くことができるよ、という意味なのか。
つまり保険料控除とは、加入している保険の掛け金額や種類によって、
支払うべき所得税の額を減らせるよ、というものなんだ。
保険に加入しているだけで、支払う所得税の額を減らせるわけね。
加入していた保険を整理するなどして、保険料控除の額が減ると、
年末調整で戻ってくる金額が減る可能性があるということはわかるかな?
ええっと・・・保険会社に支払う金額を減らしたら、保険料控除額が
減ってしまったわけね?
そう。所得税から控除する額が減れば、支払う所得税額は実質的に
増えるから、戻ってくる金額も減ってしまうかもしれないわけだ。
たとえば去年は、保険料控除額は2,000円だった。
年末調整の結果、計算された所得税は8,000円だったとしよう。
1~12月の給与から源泉徴収された所得税は11,000円だった。
年末調整で計算された所得税8,000円との差額で、
3,000円(11,000円-8,000円)が戻ってきたとしよう。
今年はどうなるの?
今年は保険を整理して、保険料控除が1,000円に減った。
年末調整の結果、計算された所得税は9,000円だったとしよう。
所得税から控除される(差し引かれる)金額が、去年より
1,000円減ったから、所得税の金額が上がったのね。
1~12月の給与から源泉徴収された所得税は、去年と同じく
11,000円だった。
年末調整で計算された所得税9,000円との差額が戻ってくる金額だから・・・
11,000円-9,000円=2,000円が戻ってくることになるね。
保険料控除額が1,000円減ったことで、支払う所得税額が去年より
1,000円増えて、戻ってくる金額は1,000円減っているわけか。
実際の年末調整は、この例よりももっといろいろとやることがあるし、
ずっと複雑な計算が行われる。
でも、保険料控除額が変わると年末調整で戻ってくる金額が
変わる可能性があるということは、イメージできたでしょ?
なるほど。
年末調整が間に合わなかったらどうなるの?確定申告?
友達に、「年末調整が間に合わなかったらどうなるの?」って
質問されたんだ。
「年末調整が間に合わない」っていうのは?
友達は今年プライベートでいろいろあって、年末調整に必要な書類を
会社に提出しそこなっちゃったんだ。
なるほど。書類提出期限が間に合わなくて、会社に年末調整をして
もらえなかったということかな?
そうそう。年末調整が間に合わなかった場合、どうすればいいの?
年末調整を受けられなかったら、自分で確定申告をしないといけないね。
確定申告って、結局何なの?
イマイチよくわからないんだけれど。
1年間の所得から計算される所得税について、
税務署へ届出をする手続きだよ。
正社員、アルバイト、パートなどの会社に勤めて働いている人の場合、
通常は会社が「年末調整」という手続きをしてくれるから、
特別なケースを除いては、確定申告をする必要はない。
年末調整も、所得税を計算するものだったね。
⇒年末調整とは?
年末調整を受けられなかったら、自分で確定申告をして、
所得税についての申告を自分で行うことになるわけだ。
確定申告をした結果、所得税を支払いすぎていることがわかれば、
支払いすぎた分が戻ってくる(還付される)よ。
支払うべき所得税額が不足している場合は、徴収される。
つまり、所得税を払うことになる。
確定申告は、できる期間が決まっているんだったよね。
前年の1月~12月までの収入などを基準に、
翌年の2月16日頃から3月16日頃までの約1ヶ月間が、
確定申告できる期間になるよ。
翌年の2月16日頃から3月16日頃までの約1ヶ月間が、
確定申告できる期間になるよ。
たとえば、2019年の1月~12月までの収入などについて、
2020年の2月半ば~3月半ばに確定申告する、ということだね。
もしこの期間中に確定申告できなかったら、どうなっちゃうの?
もしも間に合わなかったとしても、
後から遅れて確定申告を行うこともできる。
なんだ、できるんだ。
じゃあ、焦らなくってもいいんじゃないの?
ただし、その場合は期間後申告となって、
「無申告税」を課されることがあるからね。注意してね。
あわわ。そういうことは早く言ってほしい。
確定申告をするには、会社が発行してくれる源泉徴収票や、
保険会社から送られてくる保険料控除証明書というハガキ(手紙)などの
書類が必要になるから確定申告までの間に用意しておこう。
保険料控除証明書は、生命保険などに加入していて、
保険料控除を受ける場合に必要なものだね。
確定申告はいろいろと複雑でめんどうくさいけれど、
わからないからという理由でやらずにいると、
さっきも言った「無申告税」を課される場合があるからね。
無申告税っていうのは、どのくらいの金額になるの?
納付すべき税額に対して50万円までの部分で15%、
50万円を超える部分については20%だ。
15%とか20%っていうと・・・
ワリと高額になる予感・・・
本来の期限から1ヶ月以内に自主的に申告した場合など、
一定の要件を満たしている場合は課されないよ。
50万円を超える部分については20%だ。
15%とか20%っていうと・・・
ワリと高額になる予感・・・
本来の期限から1ヶ月以内に自主的に申告した場合など、
一定の要件を満たしている場合は課されないよ。
税金の徴収は厳しくて、「無申告税」以外にも「延滞税」、つまり
税金納付が遅れたことに対する利息のようなものが課される場合もある。
あわわ。
確定申告が間に合わない!わからない!という場合も、
焦らず、諦めず、まずは税務署に相談してみようね。
確定申告時期の税務署は混んでいるんだよねえ・・・
でもちゃんとしないといけないね。友達にも話をしてみるよ。
生命保険料控除の上限以上保険料を払っている場合、年末調整はどうなるの?
年末調整の保険料控除申告書を書いて提出することで、
生命保険の保険料控除を受けることができるよね。
保険料控除申告書の左半分が、生命保険料の申告に
使う部分だね。
生命保険料の控除額には上限があるよね。
「一般の生命保険料控除」の上限は50,000円、
「介護医療保険料控除」の上限は25,000円、
「個人年金保険料控除」の上限は50,000円、
生命保険料控除の合計の上限は、120,000円と決まっているね。
保険料控除申告書の欄内に「最高」いくらと書かれているのが、
控除額の上限だよね。
この上限以上の控除は受けられないんだよね?
そうだね。
医療保険や生命保険にたくさん加入していて、控除額に達しても
まだ支払った保険料がある、という場合はどうなるの?
保険AとBとCを書いたら保険料控除の上限に達したけれど、
まだ保険DとEとFがある。D~Fは控除を受けられないの?
という質問でいいかな?
そうそう、そういうことなんだけれど。
残念だけれど、上限額以上の控除は受けられない。
今の例だと、D~Fの保険については控除を受けられないことになるね。
じゃあ、仮に保険料控除申告書にD~Fの保険を記入しても、
上限額を超えた控除は受けられないってこと?
そうだね。加入して支払っている保険をすべて書けば、
すべてについて控除が受けられるとは限らないということだね。
控除が受けられる金額を超えてしまう分については、
記入する必要はないってこと?
そういうことだね。